有名オーディオ店店長のスピーカー試聴に立ち会う ソナス・ファベール社Traditionシリーズ
GWの上京行事 オーディオ店巡りとしてはハイエンドオーディオのメッカ ダイナミック・オーディオは欠かせない。
現用のソナス・ファベール社のガルネリ・オマージュもIASでは素通り。
ここでの組み合わせが琴線に触れたから買ったようなもの。
ここの最上階7Fの通称「川又ルーム」に顔を出したら、丁度川又店長さんがソナス・ファベール社の新作スピーカー SERAFINO Traditionのチェック中でした。
スピーカーは右から2番目のトールボーイのものですね。
プレーヤー アンプらはESOTERICを中心にしたもので、店長さん試聴記は最後に引用させていただきます。
これまでオーディオ店の店長店員さんの試聴方法で感心したといえば、富山のクリア・サウンド・イマイの今井店長さんの試聴方法。
モノラルソースをかけて、センターにカミソリのように定位させるポジション出しされて、ステレオソースで音場再現を正確 精緻にしていく方法をつぶさに観察させていただいたことがある。
川又店長さんのは初めて。
想像よりも音量は大きく、爆音手前くらい。
後で聴いたら、スピーカーの音量限界のチェックも兼ねていたそうです。
限界が相当高いところにあるから、それだけ音量を上げられたのだと。
ppp〜fffまでリニアなよいスピーカーとされました。
音質は、弦楽からドラム クラシックからロック ポップスまでオールマイティーで欠点なくカバー。
パイプオルガンの最低域など、この広い部屋が飽和するほどの勢いには驚きました。
フランコ・セルブリンなきあとのソナスのスピーカーには、いい意味でも悪い意味でもラテン風味 コントラストが強く、明るすぎる音が気に入らないままでした。
それがニュートラルで、川又店長が文句なしに100点を付ける意味がわかりました。
このトラディションシリーズのミッドサイズでこれならその上のアマティー・トラディションならどれだけ凄いのか?
また並んでいたものの聴けなかったガルネリ・トラディションの音質性能は?
音楽室が出来たら、新しい大型スピーカー導入はどうかと検討している矢先。
スペンドールSP200と並んで、このソナスのトラディションシリーズが一気に選択候補に上がってきました。
以下この時の川又店長さんの試聴記を抜粋引用します。
■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団
この曲を聴いて直感したことはGUARNERI Traditionに比べて聴こえてくる楽音の
絶対数が大変多くなっているという事でした。それはGUARNERI Traditionの情報量が
少ないという単純なことではなく、GUARNERI Traditionは2ウェイという方式の中で
弦楽五部の演奏に調和した魅力を醸し出しているのに対して、SERAFINO Traditionでは
3ウェイの特徴として中低域における分解能が優れているということを前面に押し出した
結果だろうと思います。
例えるなら、GUARNERI Traditionでは12色の絵の具をパレットに置いて、それらを
調合することで新しい色を作っていくという事なのでしょうが、SERAFINO Tradition
では情報量としての原色は18色くらいに増えていて、しかもパレットの面積が大きい
というもので、原色の絵具を混ぜ合わせるスペースがより広く多彩な色彩感を作れる
ということではないでしょうか。
その結果、弦楽五部の各パートにおける質感が多彩になり、演奏者の数だけ微妙に
音色が異なり響きも違うものが弦楽集団の群像の中に見出すことができるという
喩えで良いと思います。この弦楽器の質感がなんとも素晴らしい美しさなのです!!
そして、この課題曲を聴き進むうちに低音階の弦楽器パートに私のハートをむずむず
させるような要素が含まれていることに気が付きはじめました。それがグランカッサの
打音としてステージ奥から響いてきた時に「これだ!」という発見をしたのです!!
それが直ちにTHE WEEKEND/EARNED ITを聴かなくては! と思った最大の理由だったのです。
そして、一晩バーンインさせてから今日も同じ二曲目を当然聴き始めたわけです。
「何だ!!この低域の質感と消え方は!!」
そうです、私の着目点を表すには、この一言で十分でした。EARNED ITの作り込まれた
重厚な低音がスネアの打音と同期して雄大な広がりを見せながら消滅していきますが、
その迫力あるダイナミックな低域は着ぶくれしないのです!!
あれ、着ぶくれしない低音とはどこかで聞いたことのあるようなセリフでは!?
そうです!!あのHIRO Acousticの最大の特徴でもあり魅力でもある低域の素晴らしさと
共通する質感がSERAFINO Traditionから感じられたのです!!これには驚きました!!
低域楽器の音像はしっかりと大地に根を下ろした低音と言うべきか、低音の発祥
ポイントをぐっとスピーカーの下半身で抑え込み、重量感ある響きをくっきりと
空間の中で囲み込み、決して膨らませることのない個体感さえ感じる低域を叩き出します!!
そして、特筆すべきは叩き出された低音が消えていくまでの過程において変質しないのです!!
位相が遅れてエンクロージャーからバイレフポートを経由して放出される低音が、
スピーカーの周辺に吹き溜まりを作るかのごとく滞留したり、同じエネルギーの
低音が消滅する前に膨らんで音色に濃淡が表れたり、視野にあるスピーカーの前方と
いう空間にぼーと広がってしまうというような挙動を示すことが皆無なのです!!
上記のようにスマートな52Kgのスピーカーから、こんな素晴らしい低域が再生される
とは何ということでしょうか!!
この快挙に気持ちが高ぶったのか、このスピーカーだったらHIRO Acousticで聴き込んで
きた課題曲をぶつけてみる価値があるだろう! と私の頭の中には瞬時に選曲リストが
出来上がってしまいました。次はこれです!
■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf
TRACK NO. 3 TWO TREES / TRACK NO. 4 SAMBIENTA
前回にも散々述べましたが、Traditionシリーズの中高域ドライバーとクロスオーバー
ネットワークの設計の素晴らしさなのか、「TWO TREES」におけるサックスの質感と
余韻感の素晴らしいこと!!
同じ空間を共有するピアノの質感の解像度が素晴らしく、打鍵の瞬間に中空に発生する
楽音は極小の音像を描き、それらの連打から繰り出される響きの連鎖が広大な空間表現
として私の眼前で巨大なスクリーンをイメージさせるのですから堪りません!!
「SAMBIENTA」の冒頭できらめくようなパーカッションが前例のない鮮明さと分解能を
提示しながら、彗星が尾を引いて飛び去って行くような透明度の高い音場感を構成する。
その背景に重厚なシンセサイザーによる重低音が響き始めると、やっぱりそうだ!!
という私の直感が確信に変わっていく!!
あのHIRO Acousticの低域にニアイコールではないですか!!
つづく